2017-08-16

秋に読む扇



今朝、すっかり夏が終わってしまったとさみしく思いつつ、扇の歌を拾い読みする。この季節に読む扇って、どうしてこんなに良いんでしょう?

移香の身にしむばかりちぎるとて扇の風の行方たづねむ  藤原定家

手にならす夏の扇と思へどもただ秋風のすみかなりけり  藤原良経

盛夏不銷雪  消えぬ雪 なつのさかりも
終年無盡風  尽きぬ風 ねてもさめても
引秋生手裏  てのうちに 秋をひきよせ
藏月入懷中  ふところに 月をしまひぬ

漢詩は和漢朗詠集にある白居易「白羽扇」の部分。扇の形が違うものの、これも好きなので試訳して一緒に並べてみた。

定家の歌は、扇に残っていた恋人の香もそっと旅立ってしまったよ、との趣向が秋にぴったり。逢瀬のこと以上に、別れたのちの夢遊感に情趣が置かれている。あと良経には「秋風のすみか」の他にも斬新な歌が多いが、自分は「冬の夢のおどろきはつる曙に春のうつつのまづ見ゆるかな」が超好きすぎて、プリントゴッコ(ってもう販売終了したんですね…)を使って、金文字のポストカードを大量に刷ったことも。写真はその現物。

追記。本日16日(水)の日経新聞夕刊にインタビューが掲載されるそうです。