2017-04-30

思案。



いまだ豚足を自分で調理したことがないのですが、やはり基本は煮るのがよいのでしょうか(きっとそうですよね。シロートがオーブンで焼いてこのまま皿にのせたら恐怖メニューになること確実ですもんね)。

ピエ・ド・コション(フランス古典料理)以外のものをつくってみたい。とりあえずエルブ・ド・プロヴァンスは入れるとして、お酒は何をつかったらよいのかネットで調べてみることにします。

2017-04-29

Air Purifier



うちの同居人は空気にこだわりがある人で、ずっとダイソンの空気清浄機が欲しいなと思っていたのですが、別のメーカーにもかわいい穴あきタイプのものがあることがわかり、それを使ってみることにしました。ただダイソンと違って、装置に穴のあいている意図がよくわからない。それで、なんなのかなこれ、ダイソン狙いの人をおびきよせるためのデザインかな?と思っていたら。

こうやって、この穴から外をながめると世界が新鮮であることに気づき、おお、ちゃんと用途があったんだ、と。

2017-04-26

緑のある本屋さん(4)



栃木県益子のハナメガネ商会は素敵な庭のある本屋さん。扱っている書籍は恐ろしくキュートなラインナップで攻めています。店内も気持ちの良い趣き。


こういう庭を見ると、京都で過ごした大学生の頃を思い出します(女3人で町家を借りて住んでいた)。これ、自分で手入れするのけっこう大変なんですよね。枝を切ったりとか、蜂の巣をとったりとか。実際にはなにか困ったことがあるたび、サーファーだった大家さんを呼んで全部やってもらっていたんですけど。


あちこちの本屋さんがネットで『フラワーズ・カンフー』を宣伝してくださっているのを知るたびに感謝の気持ちでいっぱいです。ただツイッターもフェイスブックもやっていないので、全然シェアが追いつかないのがざんねん。自分のことだからではなく、びっくりするくらい素敵な本屋さんがこんなにあるんだよって部分を多くの方に伝えたいです。

2017-04-24

緑のある本屋さん(3)



広島県廿日市のホリデイ書店も、最初に目にしたのがイキモノとしての植物が窓辺にあるツイート写真だったせいで、ああ、こういう雰囲気好きだなあ、と。

しかしカフェも飲めるし、色んな講座もやっているし、町の本屋さんってほんと変わりましたね。〈場〉の境界設定を書き直したというか、日常生活を組織し、新しいかたちのコミュニティを作り上げる〈総和的空間〉になったというか。

ちなみに4月29日(土)は午後5時から「本屋について語りつくそうin はつかいち」が開催される予定。古本・本屋界隈ではつとに有名な、中四国のBOOKスポットを回りつくし、来訪先でしゃべり倒してきた「吉備川辺亭」こと高原康秀さんのトークライブです。今まで訪れたBOOKスポットのあれやこれや、さらには本屋のこれからを熱く語ります。参加費は無料(1ドリンクORDER:500円)。

2017-04-23

緑のある本屋さん(2)



インテリアとしての、ではなく、イキモノとしての植物&本屋さんの話のつづき。

東京は弥生坂にある緑の本棚は「夜景さん、こういう感じお好きなんじゃなくて?」と人から教えてもらった本屋さん。はい、好きです。なかでもここの植物は、ちゃんと販売されているところが画期的。



そうそう、緑の本棚も奥はカフェになっています。つい先日も「ドラゴンフルーツのダイスカットアイスとグラパラリーフのメニューを試作中」なんてツイートがあったりして。こんな場所に足を踏み入れたら鉢を選んだり、サボテンを食べたりするのに忙しくて本を見る暇なんてないのでは?と一瞬思ってしまいますが、緑の本棚には当然ながら植物関係の本が多いので心配は無用みたいです(お財布の中身の心配は、多少、ある)。

2017-04-22

緑のある本屋さん(1)



週刊俳句に創刊10周年を記念する作品を寄せています。タイトルは「そらなる庭に ピエロ・デラ・フランチェスカによせて」。桑の花ってまだ現実で見たことがないのですけど、あの姿で、どんな香りなんでしょう。桑の木のある庭がほしい。それにしても10年間いちども休まないって、リアルな週刊誌でもないことですよね。なんでそんなにうまくいっているのか(いちゃもんでは、ない)。

いきなり話は変わって、もしかすると見当違いのことを書くかもしれないんですが、本屋さんとおつきあいするようになって感じるのが、今の日本の本屋さんというのが植物とすごく親しいんだなってこと。15年くらい前はレンタルっぽい観葉植物とか、高価な鉢植えとか、いわゆる〈家具としての植物〉ばかりだったのに、最近は店内で犬を飼っているみたいな感じで、気心の知れた植物に囲まれている。



愛知大学の近所にあるMERCY'S books & postcardsも、窓に見える緑のカーテンや、中央に置かれた植物がたいそう寛いだ雰囲気(店内はカフェにもなっています)。そしてMERCY'Sの特別に素敵なところは、その店名からわかるように、本と絵葉書を一緒に売るといった発想。変な話、本を買うと、絵葉書も欲しくなりますよね。あれ、ほんとうに奇妙な現象です。新しい本を買うと期待や想像の羽がちぎれんばかりにはばたきだしますが、もしかすると想いをのせた絵葉書は一枚の羽の身代わりみたいなものなのかもしれません。

とにかく一見なんてことないこのアイデアを、コンセプトとして明確に意識している本屋さんはあまりないから、それだけでもMERCY'Sは斬新。近郊にお住まいの方は遊びにゆく価値アリです。

2017-04-20

よそのジャンルの歌のこと。


復活祭のバカンス。時間がたっぷりあるので、拳譜を眺めています。

拳譜とはその門派の歴史や伝承、さらには招法(技と戦術)の名称や秘訣などが記された伝書のことで、招法については大雑把にいって2種類の記譜法があるんですね。これ、別の言い方をすると、オモテ用(一般)とウラ用(奥義)ってことなんですけど。

オモテは図による説明。



他方ウラは歌になっています。これだと暗唱に良く、かつ師から口伝を受けていない者にはちんぷんかんぷんです。たとえばブルース・リーの学んだ詠春拳の四言歌訣は、こんな感じ。



ウラは原則として門外不出(というか拳譜自体が元来そういうものなのですが)。ネット時代になっていきなり閲覧・研究の敷居が下がりました。実際に習得するわけでなくても、いろんな流派の歌を知るのはとても面白い。ちょっと俳句の方の参考になったりして。

2017-04-17

松風の効用


初夏のきざしが見えだすと、屋内からレバノン杉のある屋外へ移動して身体をうごかす。レバノン杉はスギ科ではなくマツ科の植物。その葉が風にこすれる音は、波の音とまったく同じ瞑想効果をもらたすのだ。

心地よいノイズに没入すると、心と身体とがふわっと抱き合って、じぶんの存在している感触が愉しい。

演武は淡として古意に合ふこと。


2017-04-16

家庭の事情



夫の知人は出張のたび、その町の大学のマグを買う。本当はもっと変わったものも買いたいのだが、なにぶん旅の多い仕事で、そのたび土産と称していろんなものを持ち帰ると、伴侶に「家が散らかる」と難色を示されるらしい。そんな中、いつでも受けが良いのが大学オリジナルグッズのマグなのだそうだ。

写真は、夫がその知人とカリフォルニアで会ったときに「この町、すごく良いのがあるんだよ!」と親切にも売り場まで連れていってくれたというマグ。

2017-04-14

ベケットで川柳を読む



これを書き終わるころには(日本の)日付が変わっていると思いますが、4月13日というのはベケットの誕生日らしいです。

ベケットといえば昔、柳本々々さんに「普川素床をベケットで読もうよ」と誘われて、全5回の放談シリーズをしたことがあります。

で、そのときベケットの人生をざっと調べ直してみたのですが、彼ってものすごく運動神経が良くて、性格もうきうきしているんですよね。でも彼のファンはなにを考えているのか、そういった部分には全く興味がないらしく、まあ、それは良いとしても、怖いのはヘンな権威で彼を飾り立てようとしているふしがあるところ。ちょっとした論文を読んでいても、やたら「このノーベル賞作家は〜」なんて言い回しが出てくるし。ベケット周辺の、ああいうのって、なんなのかな? 自分の好きな人が「偉い」と、そんなに嬉しいのかな?

≫参考リンク
【連載放談】普川素床読解入門 小津夜景×柳本々々-第1回 また終わるために-
【連載放談】普川素床読解入門 小津夜景×柳本々々-第2回 ねえジョウ-
【連載放談】普川素床読解入門 小津夜景×柳本々々-第3回 いざ最悪の方へ-
【連載放談】普川素床読解入門 小津夜景×柳本々々-第4回 まだもぞもぞ-
【連載放談】普川素床読解入門 小津夜景×柳本々々-第5回 しあわせな日々-

2017-04-13

3グラムほどの衝撃。



最近は本の写真ぱかりアップしているけれど読書は苦手だ。大好きな『水滸伝』も『西遊記』も自分で読めたためしはなく、かならず同居人に朗読してもらっている。

あ。

そういえば、わたしが同居人と結婚した理由のひとつが、この人が眠る前に本を読んでくれるからだったのだ。しかも若い頃は、ただ読んでくれるだけでなく、病気になるたび本に出てくる料理  森茉莉「貧乏サヴァラン」のロシア・サラダとか  を再現して病室へ運んできてくれたり、いろいろ、うーん、してくれた。かたじけない。いや、ごめんなさい(すっかり忘れていた)。

2017-04-12

絵本とか、おばけとか。


某日、岡山のBriséesに送る絵本をあれこれ考える。

思案の末、エリック・カール『ザ・ハングリー・キャタピラー』とブルーノ・ムナーリ『ABCブック』は外すことに(本の傷みがひどい)。残りの絵本は、もうBriséesの片隅に存在しているはず。


ジャン・ド・ブリュノフについてはこちらに「書家っぽい絵描き」と書いたことがあるのだけれど、あのあとで書家の北村宗介さんが「絵描きっぽい書家」であることも重ねて思い出した。以前にお会いしたとき戴いた文字はトミ・ウンゲラーのおばけそっくりで、じっと眺めていると背後から闇がしのびよってくる。

2017-04-11

真夜中のメール



深夜、友達からメール。この世にはcocotier(ココ椰子)とdattier(ナツメ椰子)とpalmier(パーム椰子)とを平気で一括りにしている日本人が多すぎてもどかしい、との長文が綴ってある。この町に住んでいると、この感覚はよくわかる。ココナッツとナツメとじゃ太陽と月くらいちがうものね。

椰子で思い出したのだが、子供のころ、いや大人になってからも『水滸伝』で思わず息を呑んでしまうのが、悪漢たちが寄り集まって大量の棗をむしゃむしゃ食べるシーンだ。その光景にゆきあたるたび(わあ…いいなあ…)と思う。またふだん自分がナツメを食べる(※椰子の実の方の)ときは(あのね、これね、悪党たちの大好物なの…すごくおいしいの…)と一人空想しながら食べる。

2017-04-10

ラヴレターにうずもれて



アムレテロンはエスペラント語でラヴレターという意味だ。ものすごく覚えにくい屋号である。ところが店主のフミヨさんは「名前はよく覚えていないけれど、でもあそこに存在するあの店…といった曖昧さが大切なのです」などと哲学者めいたことを言う。

アムレテロンにあるアイテムは、どれもこれもフミヨさんから偶然この店を訪れたお客さんへのラヴレターなのだそう。本、レコード、雑貨、ギャラリー、ワークショップなどさまざまな角度から、今日もフミヨさんは高円寺のあづま商店街でラヴレターを手渡しつづけている。

アムレテロンの素敵な写真ギャラリーはこちら

2017-04-09

きのうのつづき、からの、マンガ売り場。


今、きのうのブログを見たら、気取った文章と恥ずかしい俳句が載っていて超びっくり。びっくりと言っても、自分で書きながら「あーこれはやばいな…」と判ったからこそのあのタイトルだったのだけど。誰でも、たまに、捨て鉢な気分になることってあるでしょ? きのうはね、それだったみたい。

話は唐突に変わってマンガのこと。この町で最も大きい本屋さんのマンガ売り場は少年・少女・青年・オシャレ系に分かれている。少年・少女の区分は日本とまったく同じ。青年・オシャレ系の区分はちょっと違っていて、谷口ジローがオシャレ系の棚にあったりする。


上はジャンル別の売れ筋コーナー。下はふつうの棚の雰囲気。


BLコーナーもちゃんとある。表紙カバーも日本版そのまんま。

2017-04-07

ほんのちょっと思っただけのこと。


庭というのは、一年を通じて、なにかしらのしょぼくれた樹木や草花に覆われている。ことに花は瑞々しく咲いている時間よりも腐ってゆく時間の方が長い。だから庭づくりのときは腐朽をいかに美しく見せるかを考えることが大事だ(それを庭のイメージの中心にもってくると、庭遊びがよりスムーズに運ぶ)。

昔、夏の終わりのアルハンブラ宮殿を訪ねたとき、掃除のゆきとどいていない中庭の欠けたモザイクタイルが、時間と日射しとに負けて古色蒼然となった植物をひどく輝かしめているのを目にした。ああ、朽ちた命がなお清らかに輝く空間ってこんな風につくるんだ、とその時わたしは思った。

存在の家に褪せゆく馬酔木かな  夜景

2017-04-05

うみととり。そしてひめくり。



もうどうしようってくらい良い写真。青森県八戸市にある蕪島のウミネコだそう。ニャアニャアという声が聞こえてきます。普段お世話になっている岩手県盛岡市のひめくりのご主人から頂きました。

現在ひめくりは町田尚子『ネコヅメのよる』原画展で息をつくひまもないほどの忙しさ。寅印菓子屋に特注したという四種類の猫柄パウンドもおもしろいです。


2017-04-04

るびふる余滴


西原天気「るびふる」にまつわる話をいくつか。

● わたしはルビが大好きなのですが、それは子供のころに読んだ近代短歌のせいなんですよね。例えば北原白秋の、

ふくらなる羽毛襟巻〔ボア〕のにほひを新しむ十一月の朝のあひびき
楂古聿〔チョコレート〕嗅ぎて君待つ雪の夜は湯沸〔サモワル〕の湯気も静ごころなし
こういう作品の影響で。あと日本語で読む漢詩も好きで、そちらは漢字とひらがなの相同や差異がおもしろい。それで自分の句集に入れた
閑居初夏開魂匣愛撫哉
を書いたときも、初出は「かんきょしょかたまばこひらくあいぶかな」と総ルビにしていました。

● ただ上の句を書いたときはまだウブだったので、単なる読み下しを漢字に振っていたんですよね。でも中国の古典文学を読むと、けっこう韻文箇所は活弁風にひるがえしてあるじゃないですか。こんな風に。
風が吹いてもよけられる
雨が降っても濡れやせぬ
雪でも霜でもこわくない
雷さまも聞こえない
雲はたなびき日に映えて
瑞気がいつも薫ってる
(『西遊記』小野忍訳)
こういうのを漢字と組み合わせるのってすごくかわいい。そのうちやってみたいです。

● 活弁といえば、とある筋から西原天気の
翻車魚〔まんばう〕のゆつくりよぎる恋愛〔ローマンス〕
は有季定型ですねってメールを貰ったんです。その方曰く「これ、生駒雷遊の『春や春、春南方のローマンス』でしょう? ローマンスは春の季語です」とのこと。言われてみればそうでした。活弁のフィールドって現代の韻文に大きな影響を与えていますし、当然そこにはバタ臭い語もあふれているわけですから、とても大事な話だと思いここに追記することにしました。

2017-04-03

本屋さんって、想像していたよりも身軽。



なかなか紹介できない本屋さんの出張営業。今日は4件まとめて。

● 群馬県のふやふや堂。桐生市にある伊東屋珈琲2号店ファクトリー店でコーヒーと本のイベントに参加中です(4月16日まで)。
● 宮城県のペンギン文庫。4月7日(金)仙台市泉区にて営業です。
● 沖縄県のBook Cafe Bookish。4月8日(土)午前11時より那覇市にて開催の浮島書店に参加とのこと。出版社・書店・読書家が『浮本』および『島本』にまつわる書物を持ち寄るこのイベント、ブッキッシュさんはこじつけ上等で『フラカン』を携えて下さるそうです。
● 福島県のリードブックス。4月9日(日)午前11時よりいわき市にて開催の三町目ジャンボリーに出店とのこと。リードブックスさんは現在本屋開業に向けて活動中。ご縁あって『フラカン』を扱って下さっています。

2017-04-02

るびふる高速鑑賞会


たまには俳句をつまみ食いっぽく味わいたい。それで手頃な作品はないかなと探してみたら、ちょうど西原天気「るびふる」があった。俳人協会の囈語を受けて書かれたケレンミたっぷりの十句。これを読んでみます。

● ● ● ● ● ● ●

てのひらにけむりのごとく菫〔ヴィオレッテ〕
冒頭からいきなり名句。嫌味な人です。菫を煙に見立てたのは粋で垢抜けたペン画のようで、また「ヴィオレッテ」という音の甘味を抑制する働きも。それにしても、ひらがな句の最後を漢字一文字で締めるパターンというのは気品が出ますねえ。さらにはこの句に関する作者の推薦曲がスカルラッティだと言うし。良すぎて、涙ぐんじゃう。
春ゆふべ地図を灯して俺の車〔カー〕
ライトに照らし出された地図のロマン。春宵の雰囲気に、ふと頭をもたげる逃避行気分。句末音「カー」の破壊力もたまりません。
春雨や灯のほとはしる土瀝青〔アスファルト〕
立派な写生句。座五は漢字にルビを重ねたお陰で佳品風味(ここ、笑う所ですので。念の為)が増しました。
春の夜の洋琴〔ピアノ〕のごとき庭只海〔にはたづみ〕
これは西原天気の存在様式そのもの。彼の非常に深いところを流れるイメージです。なんのことかわからない方はこちらをどうぞ。
手術〔しりつ〕してもらひに紫雲英田〔げんげだ〕のまひる
「手術」「紫雲英田」「まひる」とたいへん趣味のある景の組み立て。にもかかわらず「しりつ」というルビによって、つげ義春的世界をあえて前景化させてしまう悪態よ。作中をゆく人物が片腕を押さえている白昼夢に襲われることしきり。
なかぞらに練り物〔パテ〕支〔か〕ふ囀りの穹窿〔ドーム〕
さえずりの溢れる天蓋と、その中空でパテを支う職人。「穹窿」に「ドーム」とルビをふり、文芸復興のごとき軽やかな春の風合いを出現させた作者の腕前にうっとり。加えて「パテ」をしっかり「練り物」と記したせいで、宙にちくわ・はんぺん・がんもどきが飛び交っているようなナンセンスとの交響まで生まれています。小栗蟲太郎的な遊び心もあって、間テクスト性の高さは連作随一。
雪花石膏〔アラバスター〕まだ見ぬ夜の数かぞふ
上五の字面が堂々としている(加えてアラバスターには、それだけでアブノーマルなエロさがある)ので中七以降は言い過ぎを避けてさらりと流したもよう。内容が妄想(成就せざる欲望)にまつわる点も、アラバスターの神秘的な白さをすっと引き立てるのに一役買っています。
翻車魚〔まんばう〕のゆつくりよぎる恋愛〔ローマンス〕
「るびふる」から一句選ぶとしたらこれ。「ローマンス」の長音符が「まんばう」にぴったり。巨大な石碑にしたいくらいバカっぽくてかわいい。どことなく長谷川四郎の香りも。
莫大小〔メリヤス〕にくるまれて海おもふなり
西原天気らしい質感。庇護から海へと抜ける無理のない連想を、禅語めく上五の存在感でもってふわっとまとめてみせました。ものを想う心にもまた大小は莫いですし、しみじみとしてしまいます。あと個人的に、このメリヤスは襯衣(シャツ)ではなく古布であってほしいな、とも。
くちびるがルビ振る花の夜の遊び
ルビ祭り、ラストのダメ押し。エクリチュールの戯れを「゛」なる疑似ルビを有する「び」で仕上げてみせました。イメージにも茶目っ気があってよろしいです。以上つまみ食いでした。